こんにちは、Xenoです!
今回は温度と熱平衡(熱力学第0法則)について解説します。
私たちが普段使っている温度の単位[℃]は摂氏温度(セルシウス温度)と呼ばれています。
しかし、熱力学で使用する温度は摂氏温度とは異なります。
では、どのような温度を用いるのでしょうか?
この記事を読めば温度や熱平衡の理解を深めることができます。
それでは行きましょう!
前回の記事はこちらからどうぞ!

温度の定義
ものの温かさや冷たさの程度を表すものを『温度』といいます。
温度と言っても色々な種類がありますが、主なものとして以下の4つが挙げられます。
- 摂氏温度(セルシウス温度)
- 華氏温度(ファーレンハイト温度)
- ケルビン温度(絶対温度)
- ランキン温度(絶対温度)
一つずつ見ていきましょう。
摂氏温度(セルシウス温度)
摂氏温度[℃]は、私たちに最も馴染み深い温度です。
水が凍る温度を0[℃]、水が沸騰する温度を100[℃]として、その間を100等分して表します。
華氏温度(ファーレンハイト温度)
華氏温度[℉]は、主にアメリカで使用されている温度です。
水が凍る温度を32[℉]、水が沸騰する温度を212[℉]として、その間を180等分して表します。
ケルビン温度(絶対温度)
ケルビン温度(絶対温度)は、熱力学で用いられるSI(国際)単位系の温度で、絶対零度を基準としています。
温度の尺度は摂氏温度[℃]と同じです。
ランキン温度(絶対温度)
華氏温度[℉]と同じ尺度を用いている、ケルビン温度[K]と同様に絶対温度を基準とした温度です。
それぞれの温度の関係
摂氏温度を\(T_c\)、華氏温度を\(T_f\)とすると、それぞれの関係は次式で表すことができます。
\[T_c=\frac{5}{9}(T_f-32)[^\circ{C}]\]
\[T_f=\frac{9}{5}T_c+32[^\circ{F}]\]
ケルビン温度を\(T\)、ランキン温度を\(R\)とすると、それぞれの温度の摂氏温度と華氏温度との関係は次式で表すことができます。
\[T=T_c+273.15[K]\]
\[R=T_f+459.67[R]\]
熱力学で使用するのは絶対温度(ケルビン温度)なので、摂氏温度と絶対温度の関係は頭に入れておきましょう!(以降はケルビン温度のことを絶対温度と呼称します。)
熱平衡
冷たいジュースや温かいスープなどをうっかり置きっぱなしにしてしまった経験はありませんか?
置き忘れに気づき、戻ってみるも既にジュースやスープはぬるくなっている…。
こうなる理由は、ジュースやスープと周囲にある空気で熱が移動し、やがて周囲の温度と同じになるからです。
他にも熱いスープの中にスプーンを入れれば、やがてスプーンは熱くなるし、水に氷を入れれば水は冷たくなっていくことを私たちは日常的に知っていすはずです。
このように、高温の物体と低温の物体を接触させると、高温の物体は温度が低下し、低温の物体は温度が上昇します。
やがて2つの物体の温度は等しくなり、このような状態を『熱平衡の状態にある』と表現するのです。

熱力学第0法則
下図のように、ある物体Cが物体Aと物体Bに接触しています。
ここで、物体Aと物体Cが熱平衡かつ、物体Bと物体Cが熱平衡であるとすると、当然物体AとBも熱平衡状態であると分るでしょう。
以上のことを表した法則を『熱力学第0法則』といいます。
- 熱力学第0法則
-
ある物体Cが物体Aと熱平衡にあり、物体Bとも熱平衡にある時、物体Aと物体Bは熱平衡である。

平衡状態と非平衡状態
下図のように流体(気体または液体)の入った容器を考えます。
容器内部の状態は主に2種類の状態に分けて考えることができます。
- 平衡状態
- 非平衡状態
一つずつ見ていきましょう。
平衡状態
容器内部のどこでも温度や圧力が一定であり、熱平衡が保たれている状態。

非平衡状態
容器内部に高温部分と低温部分が存在し熱平衡が保たれておらず、圧力も一定ではない状態。

(古典)熱力学では非平衡状態を扱うことはできません(温度や圧力が場所によって違うため)。しかし、平衡状態から別の平衡状態への変化を扱うことは可能なのです。
練習問題
問題
ある物体の温度を計測すると摂氏温度で48[℃]だと分かった。この物体の温度をケルビン温度とランキン温度で表しなさい。
解答と解説
摂氏温度からケルビン温度に変換すると、
\[T=48+273.15[K]\]
摂氏温度から華氏温度に変換し、その後ランキン温度に変換すると、
\[T_f=\frac{9}{5}×48+32=118.4[^\circ{F}]\]
\[R=T_f+459.67=578.1[R]\]
まとめ
今回は温度と熱平衡(熱力学第0法則)について解説しました。
基本的な内容だったかもしれませんが、温度や平衡状態の有無は熱力学においてとても重要なポイントです。
しっかり理解しておきましょう。
次回は『閉じた系と開いた系』について解説します。
それでは、また次の記事でお会いしましょう!



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