こんにちは、Xenoです!
今回は『閉じた系と開いた系』について解説していきます。
熱力学では、ある空間にある物質がどれだけ移動し、熱や仕事のエネルギーがどれだけ出入りしたかの変化を見ることをとても重要視します。
ここで考える系とは、この物質やエネルギーの出入りを考えるうえで非常に大切です。
この記事を読めば系の熱力学における重要性と系の種類について理解することができます。
それでは行ってみましょう!
前回の記事はこちらからどうぞ!

系とは何か?
熱力学では、ある空間における熱の移動や物質の出入りを考えることが非常に重要です。
この、私たちが観察する対象である空間を『系』といいます。
具体的には、右図のように『境界』に囲われた空間を『系』といい、境界の外側の空間のことを『外界(周囲または環境)』といいます。
そして、熱や仕事を受け取ったり放出したりする系内の物質を『作動流体』といいます。

閉じた系と開いた系
通常の系は主に2種類に分けることができます。
それは、作動流体の出入りを許さない『閉じた系』と作動流体の出入りを許す『開いた系』の2つです。
閉じた系(閉鎖系)
境界を通じて作動流体の出入りがない系を『閉じた系(閉鎖系)』といいます。
主な例としては『ピストンシリンダー』が挙げられます。
ピストンシリンダーは、外界から系に対して熱を加えると作動流体が膨張し、ピストンが動いて外界に対して仕事を行う仕組みです。

開いた系(開放系)
境界を通じて作動流体の出入りがある系を『開いた系(解放系)』といいます。
主な例としては『タービン』が挙げられます。
系の入り口から高温かつ高圧な作動流体が流入し、タービンの羽根を高速で回転させることによって外界に対して仕事を行う仕組みです。

開いた系では作動流体の出入りを許すが、閉じた系では作動流体の出入りを許さない。
その他の系
閉じた系と開いた系以外にも熱力学で扱う系が存在します。
それが『断熱系』と『孤立系』です。
断熱系
境界を通じて作動流体と熱の出入りがない系を『断熱系』といいます。
身近な例だと、魔法瓶(真空を利用して熱を通さない瓶)が断熱系に該当します。
孤立系
あらゆる作動流体やエネルギーの出入りがない系を『孤立系』といいます。
外界が対象とする系に比べて非常に大きい場合には、外界を一つの孤立系として見ることもできます。
すべての系のおおまかな位置関係
これまでで合わせて4種類の系を紹介してきましたが、各系のおおまかな位置関係は下図のようになります。

まず、開いた系はあらゆる物質(作動流体)と熱や仕事などのエネルギーが通ることができます。
次に開いた系では物質(作動流体)は通ることができませんが、熱や仕事などのエネルギーは通ることができます。
そして断熱系では熱エネルギーは通ることができませんが、仕事などのエネルギーは通ることができます。
最後に孤立系はあらゆる作動流体やエネルギーも通ることができないのです。
このように、どの系が物質(作動流体)やエネルギーの出入りを許すかを区別するのは熱力学において非常に重要です。
この4つの系は今後もよく出てくるので、しっかりと把握しておきましょう!
熱力学において系は主に閉じた系、開いた系、断熱系、孤立系の4種類に区別して考える。
まとめ
今回は『閉じた系と開いた系』について解説しました。
問題を考えるうえでも、閉じた系なのか開いた系なのかを考える機会はとても多いです。
断熱系や孤立系についても条件を設定するうえで重要なので分からなかったときは記事を見返して理解を深めておきましょう。
次回は『SI(国際)単位系と状態量』について解説します。
それでは、また次の記事でお会いしましょう!



コメント